前回のレビュー記事で紹介したユニクロU 2021SSのセルビッジデニム。
飾り気の無いシンプルな見た目と生地の質感、ルメールディレクションの綺麗めシルエットと、まず買って損は無いリジットなデニムに仕上がっています。
今回は、そんなユニクロUのセルビッジデニムを使ってリジットデニムの糊落とし(ファーストウォッシュ)の手順について書いてみたいと思います。
また、今回は可能な限りリジット感を残して綺麗めに履きたいと思っていたためデニムの色止めも同時に実施しました。
~Contents~
ユニクロU セルビッジデニムを糊落とし
前回の記事でも少し触れましたが、洗いをかけていないノンウォッシュジーンズはリジットデニムという名称で呼ばれます。
デニムは生地の製造過程で「糊(のり)付け」されており、ノンウォッシュのリジットデニムの場合はその糊が残っている状態。
リジットデニム特有の固さとゴワつきは糊が残っている証。
本来であれば、完成品としてのデニムには不必要なものであるため、洗いをかけていないリジットデニムには「糊落とし=ファーストウォッシュ」という行程が必要になってきます。
糊落としとは、要するにデニムを履き始める前の「自宅での初めての洗濯」ってことなのですが、色落ちを味として楽しむデニムならではの儀式みたいなものですね。
ちなみに「糊を落とさずに履く」というのも楽しみ方の1つとしては有り。
ファーストウォッシュまで早くて半年~1年ほどの期間をかけて履き込むことで、固さの残るリジットデニムならではのカチッとしたメリハリの効いた色落ち・アタリを楽しむこともできます。
問題があるとすれば、初めて洗いをかけることでデニムが縮むため、リジットのまま履き込んで生まれたアタリの位置がファーストウォッシュ後にズレる可能性が非常に高いこと。
防縮加工の無い「生デニム」ではまずオススメできず、防縮加工有りの場合でもやはり多少の縮みやズレが生じるため、リジットデニムは購入後即糊落としが一番失敗が無いと思います。
生デニムとリジットデニムの違いについては前回の記事を参照。
リジットデニムの糊落としの手順
ここからは糊落としの手順について。
とは言っても難しいことは特に無し。
元来の丈夫さと武骨さがジーンズの魅力でもあるので、あまり神経質に考えずザックリとこなしてしまいましょう。
「糊落とし」に必要なもの
糊落としの前に用意するものは、
タライ
オシャレ着用洗剤
基本は上記の2つのみあれば完了できます。
筆者オススメのタライはニトリで販売されている折り畳み式のソフトタライ。
幅と深さが充分な大きさでありながら、使わない時は畳んでしまって置ける優れモノ。
オシャレ着用洗剤は普段使っている中性洗剤で充分ですが、よりこだわるなら「デニム洗い専用洗剤」を使うのも良いでしょう。
筆者は未使用ですが、BerBerJin(ベルベルジン)の藤原氏が開発に参加したという「BEYONDEXX」あたりは成分を見る限りかなり優秀そう。結構な高額にはなりますが、いつか使って見たい。
「色止め」に必要なもの
今回は糊落としと一緒に「色止め」も試して見るため、上記2つの他にクエン酸と塩も用意しました。
クエン酸(酸性)や過炭酸ナトリウム(アルカリ性)は洗濯や掃除に重宝するので、写真のようなボトルタイプに入れておくと頻繁に使うとき便利。
クエン酸は色落ちを促進してしまうとされるアルカリ性から酸性側に傾ける目的(『酢止め』とも呼ばれる通り、お酢でも代用できます)、塩は『塩止め』といって染料を繊維に定着させるために使用します。
ただし、一般的に言われる上記の色止め方法については筆者はやや懐疑的。様々実験されている方がいて、結果を見る限りどうやら多少なりとも効果がありそう位に考えているので、実行される方は過度に信用せず気休め程度に考えていた方が良いと思います。
デニム用を謳っていても弱アルカリの洗剤とか大手から販売されていたりしますし。
このあたりは今後実際に自分で実験&比較をしてみたいテーマでもあります。
デニムは洗う前にひっくり返す
まず糊落としとして洗い始める前にデニムは裏返しておくこと。
ボタンやジッパーはすべて閉じておくこと。
これは、洗っている最中に出来るだけ表地に余計なアタリ(色落ち)を出したくないため。
裏返すのを忘れて、洗い途中で水を吸ったリジットデニムをひっくり返すのはかなりの手間です…
デニムを水に浸す
タライに40~50℃のお湯を張って、そこに折りたたんだデニムを沈めます。
一般的なお風呂の温度位ですね
色止めも同時に行う際には、クエン酸と塩をそれぞれ大匙1~2杯ずつ一緒に投入。
生地の中の空気を抜く
生地の間に空気が入らないように上から押してしっかり空気を抜きます。
水の浸し方が甘いと糊落としが不十分でムラになる可能性も。
空気のブクブクが出なくなったらそのまま1時間放置。(上面が少し浮いてくるようなら、上から重しをのせ全体が浸るように)
放置し終わった後の水がこちら
うっすら緑がかったような黄色に染まっています。
インディゴの抜けが強い生地だともっと青みが強い色に染まります。
タライの内側には若干の色移りが見られますね。
インディゴは色移りするとかなり落ちにくい染料になるので、ありがちな「タライ代わりに浴槽を使う」のはオススメしません。(賃貸の場合は特に)
洗濯機~乾燥
浸し終わったデニムは、取り出したらそのまま単独で洗濯機にインしてノーマルコースで洗濯。
中性洗剤やデニム用洗剤を使う場合はここで投入。今回はクエン酸も一緒に投入し、あくまでも色止めを第一に考えました。
生デニムであれば乾燥機を使ってビシッと縮めた上で生地をふんわりさせる方法もありますが、今回は普通に吊るして乾燥させます。
裏返しのまま、S字フックをベルトループに通して吊るすのが一番楽かと。
吊るすタイミングでシワが寄りすぎないようにしっかり形を成型。腰回りの生地をピンと張る、セルビッジの耳を整える、股下もしっかり伸ばす、など。
濡れた状態のデニムは一番インディゴの色移りがしやすいので、干す際、他の衣類や壁などに触れたりしないように充分注意しましょう。(色泣き)
油断していると手も結構染まります。
糊落とし後のセルビッジデニムの変化
糊落とし後、乾燥まで完了したセルビッジデニムがこちら
糊付きの平坦なデニムから一転、セルビッジらしい立体感のある生地になった様に思えますね。
生地が本来持っている色味や風合いがくっきりハッキリと。
糊付きでは無いデニム生地本来の固さが残る。
当然ながら「生デニム」とは異なるので縮みはほぼ無し。
イメージとしては一般的な衣類の縮み程度で、履いていると伸びて購入時とほぼ変わらないレベルかと思います。
ユニクロUのセルビッジデニムは革パッチもポケットのステッチも無いため、生地感でしっかり魅せたいところ。
本来のリジットデニムであれば、糊落とし~乾燥までこなして初めて裾直しに移るわけですが、ユニクロUのセルビッジデニムなら裾直しの必要がないため、ファーストウォッシュ後は存分に履き倒して馴染ませていくのみ。
より綺麗めに見せたい場合は、しっかりプレスしたうえ、センターにクリースを入れるのもありでしょう。
リジットデニムの糊落とし まとめ
糊落としの手順に関しては、デニムマニアになればなるほど厳密なこだわりポイントもありそうですが、大まかな流れとして今回紹介した手順が一般的かと思います。
ユニクロUのセルビッジデニムは、縮みもほぼ無く裾上げの必要もないため、ファーストウォッシュさえ済ませてしまえば今後手間をかけることなく育てていくことが出来るというのが大きなメリット。
セカンドウォッシュは2~3ヶ月履き込んで体に馴染んできた頃に行うのが一般的。(筆者は1ヶ月くらいで早々に済ませてしまう場合もありますが)
ファストファッションブランドのデニムなわけですが、持ち主の履き方によって個性が生まれるのが面白い。
ここまでやってやはりコスパ最強すぎるので、思いっきりハイブリーチで脱色をかけた一本を作ってみたい気持ちが湧いてきています。
腐食する可能性がある金属パーツもファスナーとボタンのみですし。
今の一本を育てつつ、気が向いたら新しく実験してみたいと思います。
ではでは。
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