adidasの名作スーパースター。永遠の定番クラシックモデルが『脱構築』的スタイル「WS1」として登場
言わずと知れたadidasの定番モデルスーパースター。
adidasスニーカーの中でも、クラシックな装いで高い人気を獲得していますが、さらに今年は生誕50周年ということで、より一層注目度の高まりを感じています。
そんな中、今回発売になったインラインモデルで、思わず購入せずにはいられなかった最高にクールな一足をご紹介します。
adidas スーパースター WS1 “Reverse"
adidas社内のデザインワークショップから生まれた「脱構築」的一足。
50th Anniversaryを迎えたスーパースターの歴史とともに見ていきましょう。
生誕50周年を迎えたスーパースターの歴史
1970年に発売を開始し、今年生誕50周年を迎えたスーパースターは、adidasの不朽の名作として名高く、ブランドを代表するモデル。
もともとはバスケのコートシューズとして発売を開始。
70年代当時、キャンバス製のシューズが主流の時代に、レザー素材で軽やかな履き心地のスーパースターが瞬く間に人気を獲得しました。
80年代には伝説的なラップグループRUN-DMC(ランディーエムシー)がスーパースターを愛用していたことで、ストリートファッションのアイコンとして不動の人気に。当時RUN-DMCが着用した「紐無しスーパースター」は、現代でも「レースレス」という靴紐無しモデルとして復刻されるほどの象徴的なスタイルとなりました。
スタンスミスとスーパースター
adidasスニーカーとして人気を二分するモデル、スタンスミスとスーパースターの違いについて。
「世界で一番売れたスニーカー」としてギネス認定されているのがスタンスミス。(実際に一番売れたのは、コンバースのオールスターでは?とする説も有力ですが…)
筆者のイメージでは、
- adidasスニーカーの象徴としては、スタンスミスが牽引しているイメージ
- 実際に着用されている(目にする)のはスーパースターの方が多いイメージ
スタンスミスの方がよりシンプルでミニマムな造りで、スーパースターの方がカジュアルで主張性があることも理由だとは思いますが、スナップやスタイリングのコーデに取り入れられる率が高いのはスーパースターの方が多い印象があります。
サイズ感としてはどちらもワイズに余裕のある造りではあるものの、実際に足を通してみるとスーパースターの方がやや細身に感じます。
見た目にはスタンスミスの方がやや細身で、スーパースターの方がドッシリとした造りにみえるのですが、意外にも足入れの感覚や実際の履き心地に関してはスーパースターの方が細身のようなのです。
よりカジュアルなスーパースターに関しては、小さめで履くよりはやや大きめを選んだ方が似合うので、スタンスミスよりもハーフサイズアップで履くのが良さそうです。
スタンスミスは、どんなコーディネートにも溶け込んでくれる優等生のような立ち位置であるのに対して、より足元の主張を強めてくれるスーパースターは、ストリートライクなカジュアルコーデの主役的な使い方がマッチします。
筆者はどちらかと言うとストリート寄りなスーパースターの方が好み。
スタンスミスは「人の顔(スミス氏)を履く」ということに抵抗感があるのも理由だったりします…
ただし、ステラ・マッカートニーとのコラボでは、人物の写真アイコンというメッセージ性と説得力が一気に増していたりするので、逆に惹かれたりもするのですが。
作品やアイテムの背景に流れる物語、大事!
スーパースター WS1 “Reverse"
ここからは今回購入したスーパースター WS1について。
今作は、adidas社内のデザインワークショップから生まれたデザインとのこと。
なるほど、モデル名のWSとはWorkShopのこと。
通常ラインとは異なった形で生まれたデザインということもあってか、今作のデザインはかなり革新的で秀逸!
WS1のディティール
今作の最大の特徴として、Inside out(インサイドアウト)という手法が取り入れられています。
インサイドアウトとは、モデル名の"Reverse"にも表されている通り、通常では「裏地」に当たる目に見えない部分を表に持ってくる手法。
いわゆるDeconstruction(デコンストラクション)=脱構築という概念のもとに、「本質をあらわにする」という意味が込められていたりします。
マルジェラで一躍有名になった手法ですね。
“脱構築"とは
脱構築とは、既存の概念を一旦崩し、再構築することで再定義しようとする概念のこと。
創造的破壊と言い換えてもいいかもしれません。
ファッションでは、綺麗めなスタイルにあえてシワやクラッシュを合わせて見たり、今作のようにあえて裏地や継ぎ目を見せることでハズしや抜け感を与えていたりするのです。
今作のスーパースターは、グレーのレザーにジグザクに入ったステッチが特に目を惹きます。
つぎはぎアクセント。
脱構築とは概念であるがゆえに、はっきりと定義することもなかなか難しいのですが、一般的にはシャツ、ジャケット、コート、パンツなど抽象度の高い大きなカテゴリーに対して型にとらわれないで行われるもの。
それはシャツもジャケットも誰しもが共有している普遍的なものだから。
しかし今作は、「adidasのスーパースター」そのものに対して脱構築=創造的破壊を提案してきたように見えたのです。
つまり、誰もが認める定番モデルとして普遍的な認知度を誇るadidasのスーパースターが、ジャケットやパンツなどと並んで「adidasのスーパースター」というジャンル・カテゴリーとして再定義された瞬間でもあると思うのです。(大げさ?)
誰もが共通で認識しているモノじゃないと、そもそも脱なんて起こりえないですからね。
スリーストライプを覆うレイヤードレザー
インサイドアウトによる脱構築は、ただ裏地を見せるだけにとどまらず、スーパースターのアイコンである3本線「スリーストライプス」まで覆っています。
レイヤードされたレザーの下から三本線がチラリ。
覆っているレザーも切りっぱなしで、大胆な素材感が溢れています。
スーパースターのアイコンそのものまで覆い隠してしまうとは、なんて挑戦的なデザインなのでしょう。
履き口からヒールにかけて
ヒールからサイドに向かって周り込むように配されたレイヤードレザー。
通常モデルとは異なるカラーの重なり・コントラストが美しい。
ヒールパッチにはお馴染みのトレフォイル(三つ葉)ロゴ。
ちなみに、WS1と同時に発売されたモデルWS2は、ヒールパッチがレザーで丸々と覆われている仕様で、めくるとロゴがお目見えするという構造。
WS1に負けじとWS2の方も独特な見た目です。
アレンジデザインのシュータン
シュータンの形状もアレンジの効いたオリジナルデザイン。
ロゴがプリントされたレザーが重なるように縫われ、肉厚で二重に織られたようなレイヤードスタイル。
ここでもレイヤー構造でまとめた独自性が発揮されています。
シェルトゥは健在
スリーストライプと併せてスーパースターのアイコンであるシェルトゥは今モデルでも健在。
アッパーのサイドに配されたレイヤードレザーのグレーと相まって、正面から見た時のボリューム感が際立ちながら、一体感があり抜群の相性。
特徴的なアッパーデザインにもかかわらず、シェルトゥの個性もしっかり主張されています。
スーパースターWS1 まとめ
デコンストラクションをテーマに誕生したスーパースターWS1。
不朽の名作を脱構築→再構築した今モデルは、お見事の一言。
グレーカラーのレザーやジグザグのステッチが、全体の調和を乱すことなくアクセントを利かせていて、もうため息しか出ません。
久しくadidasから遠ざかっていたのですが、これは再注目せざるを得ない。久々にビビッと来た一足。
50周年を迎えたスーパースターに今後も要注目。
久しぶりに三本線のアパレル方面にまで手を出してみようかな?と思わされたadidasでした。
ではでは。